比婆山御陵

比婆山(ひばやま)は、庄原市にある標高1264mの山。中国山地中部にあり、比婆道後帝釈国定公園に属している。

比婆山連峰の最高峰は立烏帽子山(1299m)であり、比婆山といえばこれを指すこともあるが、立烏帽子山の北北西方向に、ブナ純林の中に標高1264mの円丘があり、伊邪那美命の御陵と伝えられる苔むした巨石が横たわっている。

古事記によれば、「かれ()その神避りし伊邪那美の神は、出雲の国(現在の島根県)と伯耆の国(現在の鳥取県)の堺、比婆の山に葬りき 」と記されており、古くから比婆山を比婆山御陵と呼んでいる。

一帯は昭和16年に、「比婆山伝説地」として広島県史跡に指定されています。

 

千引岩

火の神を生んだことがもとで亡くなった伊邪那美命を追って黄泉の国にやってきた伊邪那岐命は焼けただれて醜い姿になった伊邪那美命の姿に驚き、黄泉の国から逃れ出た。

伊邪那美命は怒って八雷神や千五百の黄泉軍を差し向けて追撃した。その時飛び越したのが「飛超岩」、軍勢を追ッ払ったのが「越原(追ッ払)」として、今も地名(庄原市比和町三河内越原」に残っている。

最後に、大石をはさんで「あなたの人草を日に千人絞め殺す」「それなら一日に千五百人の産屋を建てる」と二人が問答をなしたところから千引岩と名がついたといわれる。

 

伊邪那美命の隠れ穴

立烏帽子の谷間にある岩穴で、「火よけ穴」ともいわれる。伊邪那岐命が伊邪那美命を訪ねてきた時、夜になったので、自分の櫛に火をつけて明かりとして通ったところであるといわれる。また、伊邪那美命がここを通りかかった時、天から火の雨が降ってきたので、この穴に入って難を逃れたともいう。

もう一説には、火の神を生んだ伊邪那岐命がこの穴で亡くなったとも言われている。

 

 

比婆山のブナ純林

ブナ林は日本の冷・温帯に発達する代表的森林である。中国地方のブナ林は,海抜約900m以上に発達すると言われているが,山地が一般に低く,早くから開発されたので,脊梁部の高く険しい山々でないとブナ純林を見ることができない。広島県の北東,島根県境にある比婆山は標高1,264m,伊那美尊(いざなみのみこと)の墳墓の伝説をもつ御陵地(県史跡)で,頂上部から山腹一帯約90haの区域にブナ林が茂っている。頂上付近には老大木も少なくなく,純林としての林相がよく整い,わが国西部におけるブナ林として有数のものである。

所在地は、広島県庄原市西城町と比和町にまたがる地域で、昭和35年に国の天然記念物に指定されている。